Notionのデータベースは、ただの表計算ソフトとは一線を画します。その真価を引き出すのが「関数」です。関数を使いこなすことで、データの自動計算、条件に応じた表示、集計、さらにはワークフローの自動化まで、様々なことが実現できます。
Notion関数の基礎知識
Notionのデータベースには、「数式」という特別なプロパティがあります。ここに数式や関数を記述することで、他のプロパティの値を自在に操り、データベースをパワーアップさせることができます。
関数の基本構造
Notionの関数は、関数名(引数1, 引数2, ...)
のような形で記述します。
例えば、add(prop("数値1"), prop("数値2"))
は、「数値1」プロパティと「数値2」プロパティの値を足し算する関数です。
関数カテゴリー別 詳細解説
Notion関数は、大きく以下のカテゴリーに分けられます。
1. 算術演算
数値計算に欠かせない算術演算を行う関数は、Notionでも豊富に用意されています。
- 基本的な演算子:
+
(加算)、-
(減算)、*
(乗算)、/
(除算) は、通常の計算式と同じように使えます。 - 剰余:
mod(数値1, 数値2)
で、数値1を数値2で割った余りを求めることができます。 - べき乗:
pow(数値, 指数)
で、数値を指数乗した結果を計算できます。 - 四捨五入:
round(数値)
で、数値を四捨五入できます。 - 切り上げ:
ceil(数値)
で、数値を切り上げます。 - 切り捨て:
floor(数値)
で、数値を切り捨てます。 - 絶対値:
abs(数値)
で、数値の絶対値を求めます。
2. 論理演算
条件分岐や真偽値の判定に用いる論理演算も、Notion関数で表現できます。
- AND:
and(条件1, 条件2, ...)
は、全ての条件が真の場合に真を返します。 - OR:
or(条件1, 条件2, ...)
は、いずれかの条件が真の場合に真を返します。 - NOT:
not(条件)
は、条件が偽の場合に真を返します。 - 条件分岐:
if(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)
で、条件に応じて異なる値を返します。
3. 日付・時刻
Notionでは、日付や時刻を扱うための関数が充実しています。
- 現在の日付と時刻:
now()
で、現在の日付と時刻を取得できます。 - 日付の取得:
date(年, 月, 日)
で、指定した日付の値を作成できます。 - 日付の加算・減算:
dateAdd(日付, 数値, 単位)
で、日付に数値を加算または減算できます。単位には “years”、”quarters”、”months”、”weeks”、”days”、”hours”、”minutes”、”seconds” を指定できます。 - 日付の差:
dateBetween(日付1, 日付2, 単位)
で、2つの日付の間の日数、月数などを計算できます。 - 曜日の取得:
day(日付)
で、曜日に対応する数値 (日曜日が0、月曜日が1、…) を取得できます。
4. 文字列
文字列を操作するための関数も、Notionには豊富に用意されています。
- 文字列の結合:
concat(文字列1, 文字列2, ...)
で、複数の文字列を結合できます。 - 文字列の分割:
split(文字列, 区切り文字)
で、文字列を区切り文字で分割して配列として返します。 - 部分文字列の抽出:
slice(文字列, 開始位置, 終了位置)
で、文字列から指定した範囲の部分文字列を抽出できます。 - 文字列の長さ:
length(文字列)
で、文字列の長さを取得できます。 - 大文字・小文字変換:
toUpperCase(文字列)
で、文字列を大文字に変換し、toLowerCase(文字列)
で小文字に変換します。
5. プロパティの参照
他のプロパティの値を参照する prop()
関数は、Notion関数の中でも特に重要な関数です。
- プロパティ値の取得:
prop("プロパティ名")
で、指定したプロパティの値を取得できます。
6. データベースの情報
データベースに関する情報を取得する関数もあります。
- レコード数のカウント:
count()
で、データベースのレコード数をカウントできます。 - 現在のレコードの行番号:
row()
で、現在のレコードの行番号を取得できます。
関数活用のヒント
- ネスト: 関数はネストして使うことができます。例えば、
if(empty(prop("担当者")), "未割り当て", prop("担当者"))
のように、if()
関数の中にempty()
関数とprop()
関数をネストして使うことができます。 - エラー処理: 関数の引数が不正な場合、エラーが発生することがあります。
isError()
関数を使ってエラーを検出し、適切な処理を行うことができます。 - ヘルプ: 関数の使い方がわからない場合は、数式エディタ内で
?
を入力すると、ヘルプが表示されます。
まとめ
Notion関数を使いこなすことで、Notionデータベースは単なるデータ管理ツールから、強力な情報処理ツールへと進化します。
ぜひ、様々な関数を試して、Notionの可能性を最大限に引き出してください。